こんにちは、えむしです。サムネイルは気にしないでください。
ベル君ではなく、今回はベルマークのお話を。
はじめに
多くの学校のPTA活動では、ベルマークは未だに現役です。
ベルマークは一枚一枚数えるのが面倒なだけではなく、企業ごと、点数ごとに分けて集計せねばならず非常に手間のかかる作業です。
PTAの役員の仕事の中でもかなり忌避されているものの一つだと思います。
喜んで集計をしてくれる方は、そう多くありません。
「ベルマークの仕分け作業のため、平日の日中に召集がかかるんです。『絶対休んじゃダメ』と言われるから、その都度、仕事を休んで参加しています。んですよ?『倍のお金を寄付するから勘弁して!』って、心の底から思います」
「30人で半日作業して、たった数千円分ですから、かかる手間に対して成果が小さすぎますよね。前もって日にちがわかっていればパートの日はずらしておけますけど、『この時間にもっと稼げるよ』って思う……」
僕は直接参加した事はありませんが、妻のえむふじんから聞くと引用元とほぼ同じ様子です。
作業でも鼻息で飛ばないようにマスクをしたり、部屋を閉め切ったりと、いろいろな苦労と工夫があるようです・・・。
ベルマーク運動とはいったい何か
次に、こんなに面倒なベルマーク運動とは何かを見ていきましょう。
ベルマーク運動(ベルマークうんどう)は、学校などの教育施設、公民館など生涯学習施設の教育環境整備の助成と、交通などの面でハンデのある僻地の学校や特別支援学校、病院内学級や被災校、発展途上国の教育に対する援助を組み合わせて行われる運動で、朝日新聞社創立80周年記念事業として1960年に始まった。ベルの形は「国内外のお友達に“愛の鐘”を鳴り響かせよう」との意味合いがある。
朝日新聞社の社長は「この世界に類のない運動を朝日新聞社としても二十一世紀へ向けて大きく育てていきたい」と述べた。
朝日新聞社の記念事業だった!
しかも1960年から!!
ベルマーク運動は何故なくならないのか
PTAの役員を終えたら、もう面倒ごとに関わりたく無いという人がほとんどじゃ無いでしょうか。
なので、その活動の辛さを知った人でも廃止に向けて動こうと言う人は少ないのが実情です。
詳しくは書けませんが、えむふじんの居たPTAでもベルマークの廃止に向けた動きは有りましたが、色々な事があり頓挫しました。
学校によってはこんな校長さんがおられる事も・・・。
元・小学校長は、「体を動かさず、お金だけを出してすべてを解決するのでは、ひとに奉仕する心や自分で努力することの大切さはわからない。ベルマーク運動は本当に小さな努力だけど、皆で力を合わせれば大きなものになることを教えてくれるところが素晴らしい」と話している。
バブル当時のどこかの校長の発言だけど、これはひどい発言だと思うなあ・・・。
お金を稼ぐと言うのは身を削った労働の対価です。人によっては精神の消耗も激しい方もおられるでしょう。
そうして手に入れたお金を出すのですから、「奉仕する心や努力する事の大切さがわからない」はずはないと思います。
そもそも、ベルマーク運動は「本当に小さな努力」なんじゃなくて、「努力に見合わない成果しかあげられない」が正解。
小学校のPTAの規模なら、尋常ならざる努力が必要 です。
*なお教員はベルマーク運動に参加できません。
[注 意 事 項]
第 十 六 条 参加団体は、助成運動の実施にあたり、教育上支障をきたし、又は誤解を受
けないよう、次の諸点に注意するものとする。
一 証票等の収集にあたっては、児童生徒を使用することにより、児童生徒
間に競争心または購買心を助長することのないようにすること
二 PTA会員たる教職員の負担にならないようにすることhttps://www.bellmark.or.jp/storage/2017/04/11/0943244892/4892.pdf より
あなたの知らない「PTAとベルマークの世界」・・・ - えむしとえむふじんがあらわれた
- [工夫]
- [子供]
- [教育]
- [集計]
凄くうろ覚えですが、子供の頃はクラスで集めた後、台紙に貼って1頁で何点という状態まで子供達でやったような記憶があります。PTAがやらなきゃいけないことなのかな?
2017/07/05 08:37
*ブコメより引用追記です。上の規定を読むに、児童が活動するのってアウトっぽい気がする・・・。と言うかそもそも児童労働に当たりませんか?
数字とベルマーク
ここではベルマークにまつわる数字を見ていこうかと思います
2014年度の実績
- 集票点数 508,514,234点
- 市場調査費 合計 635,642,535円
- 参加団体口座へ 508,514,234円(教育設備助成費)
- 財団へ 127,128,301円(運営費=PTAからの寄付)
このようになっています。
どなたが数えたのか機械で数えたのか知りませんが集まった点数は5億850万点以上。
膨大な数です。
分配の仕組み 〜1点は1.27円〜
(1)集まったベルマーク1点につき、1.27円(消費税こみ)の「市場調査費」が協賛会社から支払われます
https://www.bellmark.or.jp/info/activity_status.htm
市場調査費とは、ベルマーク発行元の企業が、ベルマーク教育助成財団に支払うお金の事。
集めたベルマークはその地域でどれだけの商品が売れたのかなどの、市場調査として利用されています。
さて、0.27円はどこに行ったのかと言うと。
(3)残りの0・27円(消費税こみ)分は、集票活動したPTAなど参加団体から財団に寄付され、「運営費」になります
https://www.bellmark.or.jp/info/activity_status.htm
上の例で行くと、集まった点数は約5億850万点。
それに1.27を掛ける事で、ベルマークは合計は6億3560万円(ベルマーク発行元の企業が支払う)になります。
そこから点数と同じ約5億850万円がPTAに代表されるような活動団体に戻され、物品の購入に使用されます。
残りの約1億2700万円は、ベルマーク財団へ自動的に寄付されています。
慈善事業への寄付は・・・?
またこの購入費用の10%は、物品の販売業者が「割り戻し寄付金」としてPTAに戻したのちベルマーク財団へ寄付されて、社会貢献に使われています。
協力会社とは:PTAがベルマークを集めて貯めた預金で購入できる教育設備品などを販売する「指定会社」です。
なお、「割り戻し寄付金」は先ほどの「寄付金」とは違い、運営費に充てられる事はありません。
慈善事業に使われるための、この「割り戻し寄付金」が生まれるには、協力会社より物品を購入する必要があります。
図にするとこんな感じです。えむふじん画
2014年は4560万円の割り戻し寄付金が発生しました。
その他寄付金などと合計すると、
7862万円
一方、PTAなど参加団体から財団へ知らぬ間に寄付したことになっている金額は
1億2712万円
財団の方の報酬例
例えば常勤常務理事の報酬ですと
年俸756万円
https://www.bellmark.or.jp/storage/2015/07/09/0944375506/5506.pdf
となります。
役員の方の一覧はこちら。
朝日新聞社関係の方が多いですね。
ベルマーク教育助成財団は銀座に本部があり公益財団法人(法人税は非課税)でもあります。
その他詳しい財団の情報はホームページに掲載されています。
最後に
インクカートリッジを収める事でベルマークの代わりとするなど、ベルマークの新たな交換方法は増えているようですが、集計の基本は昔から変わらぬ前時代的過ぎるやり方です。
少子化により親の数は減っているのに、PTAでの仕事の量やノルマのような物はなかなか減らず、結果として年々必要な労力は増えて行きます。
ベルマーク運動にはメリットデメリットがありますが、デメリットの部分があまりに多く、現実として得られるものも少ないように思います。
また、慈善事業としてみた場合も問題ではないでしょうか。
- PTAなどが得たお金で物品を購入しない限り、慈善事業への寄付金は発生しない
- 慈善事業として寄付されるお金よりもPTA財団へ徴収されるお金の方が多い
この二点は特に納得がいきません。
1978年の読売新聞ではにこのように述べられています。
「教育設備は公費で購入するのが本来の姿であり、ベルマークやPTA会費で購入するのは、決して教育のためにならないと思う。表面的には学校や子供たちの為になっているように見えるが、「義務教育は無償とする」という憲法の精神を活かす努力をすることなく、労力奉仕でまかなおうとするPTAの姿は、大きく後退した考えであろう。」
正論だと思う。
あなたの知らない「PTAとベルマークの世界」・・・ - えむしとえむふじんがあらわれた
うちの学校ではベルマークの係は人気があるんです!他がもっと面倒だから、という理由ですけど…(;´д`)学校関係の公費の出し渋り、最近はひどいようです。
2017/07/03 16:06
*ブコメより引用追記です。地域差もあるようで、必ずしも不人気な「役」と言うわけではなさそうです。
妻のえむふじんがライブドアブログで描いている漫画でもベルマークの話を書いています。
一部内容の重複もありますが、もしよろしければご一読・・・いかが?