こんにちは、えむしです。
本日はガウディの陰に隠れてあまり知られていない、天才建築家ジュゼップ・マリア・ジュジョールの話を。
はじめに
ジュゼップ・マリア・ジュジョール(Josep Maria Jujol)はガウディの弟子です。ガウディが造形の人なら、ジュゼップ・マリア・ジュジョールは色彩の人と言えるでしょう。ガウディは自らの色彩感覚の才能に限界を感じ、ジュジョールに仕事を任せたと言います。
一般的にガウディの作品、ガウディのデザインだと思われているモノの中には、実はジュゼップ・マリア・ジュジョール抜きには存在しえなかった作品があります。
ジュゼップ・マリア・ジュジョールの人生とガウディ
ジュゼップ・マリア・ジュジョール(カタルーニャ語:Josep Maria Jujol Gibert, 1879年9月16日 - 1949年5月1日)はスペイン、カタルーニャ地方出身の建築家。タラゴナ県タラゴナに生まれ。
21歳の時のスケッチ
ジュジョールはガウディより27歳も年下で、彼が建築学校に進学した頃にはガウディは既に有名な建築家でした。
ジュゼップ・マリア・ジュジョールが学生時代から師事していた建築家が若くして亡くなると、ジュジョールは迷わずガウディと仕事をする道を選びます。
ガウディは初めての共同作業となったカサ・バトリョでジュジョールの色彩感覚と造形の感覚に非凡な才を感じ、愛弟子として仕事を与えます。
グエル公園の建設にも関わり、ガウディと施主達とが揉めたため建設工事がとまってしまったカサ・ミラを完成させたのはジュジョールでした。
Monarch Factoryの壁のランプ
晩年はカタルーニャ地方南部の町や村で教会や住宅の修復などを行ないました。
作品としては小規模なものが多く、代表作にトーレ・ダ・ラ・クレウ、カーサ ネグラ、カサ・ブファルイなどがあります。
建築にとどまらず家具デザインや絵画などの分野でも、その色彩感覚、造形的な才能を発揮させました。
ジュゼップ・マリア・ジュジョール | ガウディの生涯と建築作品
より
写真はTASCHENのJosep Maria Jujolより引用
ジュゼップ・マリア・ジュジョールの作品
全ては紹介できないので、これは、と思う作品を列挙します。
Teatre al Patronat Obrer 1908
ジュジョールが独自に手掛けた最初の作品が1908年のTeatre al Patronat Obrerと言うシアター。
Casa Monach 1911
金庫などを扱っていた、お店だったようです。現存していません。
Torre de la Creu(トーレ デ ラ クレウ) 1913-1916
By Gab01 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
手持ちの本(TASCHEN)によると今は心に障害を持つ方のデイセンターとして使われているとあります。中には入れませんが、バルセロナに来たら外からでも見てみてください。
こちらの建物、平面図を上から見るとバイオリンのような形をしています。
有機的なラインが美しい中の様子。ジュジョールの代表作。
Casa Negre (カサ ネグレ)1915-1926
Casa Negre (1926) Josep María Jujolより。
天井の装飾など、目をみはるものがあります。
ジュジョールの代表作その2
Casa Bofarull (カサ ブファルイ) 1914-1931
Casa Bofarull - Els Pallaresos(公式)より。
青が印象的。1954年にオーナーが死去されて閉館されてしまいましたが、1992年から修復が始まり、ジュジョールがこの建物を手掛けて100周年の2013年から再びオープンしたようです。
中に入って見学できます。
ガウディの元でのジュジョールの作品
Casa Battlo(カサ バトリョ) 1904-1906
ジュゼップ・マリア・ジュジョールと組んだ後のガウディ作。
いくつか説がありますが、モザイクタイルが花吹雪、バルコニーは仮面をモチーフにしていると言われています。僕が昔現地に行った時に撮影。使い捨てカメラだったかでちょっとイマイチ。
カサ・カルベット1898-1900。
ジュゼップ・マリア・ジュジョールがガウディと組む以前の作品。違いは一目瞭然だと思います。
Casa Milà (カサ・ミラ) 1905-1910
By Canaan - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
先ほども書いたように、施主達と揉めたためにガウディが完成前に手を引いた作品。特にこの作品はジュジョールの存在があればこそ。
世界遺産でもあり、賃貸のマンションでもあります。
By Bernard Gagnon - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
屋上にあるこちらのオブジェは、おそらくガウディのデザイン。ダースベイダーやストームトルーパーの元ネタです。
Park Güell (グエル公園) 1900-1914
By Mac9, CC 表示-継承 3.0, Link
こちらのモザイクメダリオンのデザインはジュジョールが担当しています。
By deror avi - Own work, Attribution, Link
この公園はバルセロナに来たら、やっぱり行きたくなるスポット。街が一望できますよ。
タイルのモザイクやこのカーブしたベンチはジュジョールによるものです。もちろん実際に座れます。
スペイン語のWikipediaには年代ごとの作品が掲載されています。
こちらもジュジョールの作品リスト。
おまけ:1999年のサグラダファミリアとグエル邸の屋上
3枚をつなぎ合わせ。
こちらからは4本の尖塔しか見えないけれど、裏にも多分4本位建っています。
貝のような形の階段。かなり急でした。
こっちが裏門だったかな。
今と比べると、建造されている部分が少ないですね。
確か第一次大戦中に爆撃があって、その部分は黒く変色しています。建造されていた部分が崩れてしまったそうです。建築に使われていた素材も違って、当時はその境目が見えました。今はどうなんだろう?
サグラダ・ファミリアにはジュジョールが色付けしたバージョンも模型として存在します。
ガウディが建てたかったのは現在建てられている物ではなく、綺麗にモザイクタイルで装飾された、ジュジョールバージョンのサグラダ・ファミリアだったのでは無いかなと、個人的には思うのです。もしかしたらこの後、ジュジョールが計画した様にもっと装飾されるんでしょうか?
・Roof of the Palau Guell
グエル邸の上にある尖塔。
Gaudi Hotelと言うのがこの建物の前にあって、貧乏旅行だったけどそこに一泊だけしました。
最後に
いかがでしたでしょう。
ガウディの作品を訪れる時や目にした時、ジュゼップ・マリア・ジュジョールを少し意識してもらえれば嬉しく思います。
彼の存在がもし無ければ、ガウディの作品がこんなにも愛される事は無かったんじゃないかと思います。
以上、参考にした手持ちの本など。TASCHENの美術関係の本は比較的安く購入できておすすめ。他にもいくつか持っていますよ。
またいつかフラフラ旅行に行きたいなあ・・・。